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美夏と陽太のストーリー:生まれたときからご近所さんの2人は、互いのことで知らないことなどないというぐらいの真の幼なじみです。あまりに近しいせいか、思春期を過ぎても互いに距離を置くこともなく、現在でも全力でぶつかり合うケンカ友達のようで、ハタから見れば犬も食わないなんとやらという感じです。 けれども、実際にはそんな浮いた話などまったくありません。いつしか意識し合うようになってはいましたが、長い付き合いが災いしてか、互いを思いつつなぜか思いを告げられないでいます。 美夏は陽太のいい加減さから、自分の気持ちにも、自分が思われていることにも自信がないし、陽太は陽太で美夏の前では肝心なことが言えません。初詣では2人して「素敵な恋人を見つけてラブラブカップルに」などとバカみたいなお願いしながら、互いの前では気持ちを打ち明けられないでいるのです。それが急変するのが春先、花見の帰り道でのこと。兼ねてから気持ちを悶々とさせていた陽太は、酔い潰れた勢いで美夏に告白、おまけに勢い余って押し倒そうとしてしまい、それが元で2人は口もきかない大げんかをしてしまうのです。
どうしようもなくケンカを続ける2人は、友達に相談したり、協力してもらったりして、どうにかこうにか2人で会って話すことになるのですが、素直に仲直りというわけにもいかないようで……。近しさ故にすれ違う2人は、ちゃんと気持ちを確かめ合って、人も羨むラブラブカップルへと成長することができるのでしょうか。
歩と道成のストーリー:優しいくせに無愛想で恋には疎い道成と、一途で恥かしがり屋で見ているだけで幸せになってしまう歩。そんな2人の関係は、付き合う前も後もじれったいほど進展がないという、照れ屋同士の純なカップルとなります。季節が変わっても、距離が変わっても、たぶん根本的なところは変わらない、そういう関係です。物語は、転校してきた歩が祖母に親切にしてくれた道成に一目ぼれをしたところから始まります。そして友人として再会した後も、ハタから見ればただの怖い人にしか見えない道成を、歩は「本当は優しい人なんだ」と見つめ続けます。もちろん、歩は告白などできないのですが、季節が過ぎて友達の恋愛を見るうちに、自分もなんとかしたいと思うようになります。最初の変化は出会ってから半年後、花見の帰り道でのこと。送ってもらった歩は、道成の前で転んでしまい、しかも発作的に泣いてしまいます。驚いた道成は、この頃から歩のことを意識し始めるのですが……。 とにかく2人の恋は、焦れったいほどゆっくりゆっくりと進みます。果たしてこの純で照れ屋な2人の恋が成就するときはくるのでしょうか。
透と志帆のストーリー:見た目も性格も子供っぽい透と、ポーカーフェイスでマイペースという大人な志帆。大人であろうとする透にとって志帆はすでに大人な存在であり、一見、2人は大人と子供の関係に見えます。ところが、逆に志帆は透の前では子供っぽくなることができるという、ちょっと不思議な関係でもあります。この2人の物語は暑い夏の話。志帆と恋人との壊れかけた関係を、透が偶然に目撃してしまうところから始まります。そう、実は志帆にはちゃんと恋人がいて、透は片思いを続けていたのです。ところが志帆は最近、恋人とうまくいっておらず、その性格から、誰にも言わないで悩んでいます。透の真っ直ぐな気持ちと行動力、そして幾度かの偶然が重なって、透は志帆の悩みにだんだん深く絡んでいきます。人が目をそらしたいことを無意識にズバッと突いてしまう透を、志帆もはじめ敬遠しますが、やがてそれを認めるようになり、自然と透に惹かれていきます。果たして、志帆は昔の恋を断ち切って、新しい恋をつかむことができるのでしょうか。
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