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小さな田舎町、神谷上(かみやがり)。狭い町並みを見渡すと、古い神社や木造校舎、狭い国道や単線の線路があって、町には駄菓子屋、通学路は田んぼの一本道と、20年ほど遡ったかのような風景が広がっています。
都会からちょっと足を伸ばして市街を抜けると、ふとそこに広がっていそうな、今はもうどこにもないかもしれない、でもまだどこかにある気がする。そんな懐かしい感じのするこの町に、物語の主人公であるキャラクターたちは住んでいます。
いくら田舎とは言っても、彼らだってれっきとした現代っ子です。携帯電話を持っていなくても、援助交際なんて縁がなくても、髪を染めていなくても、制服が華やかでなくても、夜遊びなんてできなくても、スカートが短くなくても、満員電車なんて乗ったことがなくても、彼らだって恋する気持ちは変わりないはずです。
このゲームでは、そんなちょっと懐かしい風景をバックに、キャラクターたちが織りなすそれぞれの恋の物語が描かれていきます。
この「フォークソング」の特徴は、”どこにでもある話”を追求している点です。どこにでもあるというのは、決してドキドキのないものとか、価値のないものという意味ではなく、本当にすぐ身近にでも起こっていそうな話、という意味です。
これは、気合いを入れて物語を読んで感動したり、必死になってキャラクターとのコミュニケーションをとったりするという、一種ゲーム的な”お約束”を飛び越えて、より”生きた”、身近に感じられるキャラクターを描いていこうという意味です。
そして、読み終わってちょっと安心したり、ふっと頬がゆるんでしまう、そんな物語を描くことに主眼が置かれているのです。
つまりは、感動する物語ではなく共感できる物語。それが「フォークソング」で描かれている物語です。
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