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僕が<彼>と出会ったのは、ほんの偶然だった。<彼>と会って話すことと言えば、宇宙論だったり、宗教論だった……とりとめのないことではあったが、博識な<彼>と言葉を交わすことは、僕のつまらない日常よりは興味深い時間だった。
そんなある日、<彼> が僕に言った――「そうだ、君にいい物を見せてあげようか?」。
誘われた<彼>の家で待っていたのは、大きな硝子瓶に浮かぶ裸身の女性達だった。<彼>は言う――「僕はね、夢を集めているんだ。
それも、女性の見た性的な夢……悪夢って言ったほうがいいのかな?」。可笑しくて仕方がない、そんな表情で<彼>は続けた――「ぜひ、君にも見てもらいたいと思ってさ………きっと、気に入ってもらえると思うよ」
蒐集された “悪夢”……それは、彼女達が見た “願望” なのか、それとも、反復して襲う “経験” なのか。
「さぁ、楽しんでくれよ。僕のコレクションを」――<彼> に誘われるまま、僕は……。
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