|
――両親が他界し、僕は学園を中退して出稼ぎのために上京した。そして2年ほど経ったある日、唯一の保護者だった祖母も他界してしまい、僕は一旦実家へ戻って葬儀を行った。そこで妹の まどか とも相談し、二人で上京することになったのだ。そして今…… 夕暮れ時の駅前で まどかの到着を今か今かと待っていると……「お兄ちゃん、お待たせ」
振り向けば、そこにまどかが立っている。 僕の…この世で一番大切な妹、まどか。
一日たりとも、まどかを思わなかったことはない。 まどかを思うと胸がキュンとする。
僕は今後の生活に期待を抱きながら、まどかを狭いアパートへ連れて行った。
その晩は、まるで両親と一緒に住んでいた頃のような、楽しい時間を過ごすことが出来た。しかし……翌日。午前中はまどかに駅前を案内し、昼食後はまどかと別れて、そのままバイトへ向かうつもりだった。
だけど まどかは急に身体を痙攣させて、横断歩道のド真ん中で倒れてしまった!
混乱して何も出来なかった僕に代わって、車から美しい女性が駆け寄り、「さぁ! 車に乗せるから手伝いなさい! そっとよ! 慎重に持つのよ! 早く!」
その女性は まどかと僕を車に乗せて、渡来総合病院へ連れて行ってくれたお医者さんが仰るには、まどかの症状は心労による貧血で、とくに心配はないと診断してくれたけど……その女性は 「MRI検査、血液検査、尿検査も行ってください」 と、親身になって検査要求をしてくれた。「お医者様は貧血と言ったけど、まどかちゃんの症状は私が発症した初期症状にソックリだわ。 このお薬を飲みなさい」と言って、"マッド329" という錠剤を渡してくれた。「私のお薬をあげる。 これを飲みながら、幸せになることを誓い合いなさい。このお薬を飲ませたあとは、"愛の催眠" を仕掛けるの。 その行為がまどかちゃんのポジティブ思考を呼び覚まし、麻痺した自律神経を正常に戻してくれるはずだわ」 ――そして、その晩。僕は早速 "マッド329" をまどかに飲ませて、就寝しようとする。しかし…… まどかは、その隣りで…
|
|