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クラスの中でも目立たない存在で、仲の良い友達がいる訳でもなく、クラスメイトからは空気のように思われている主人公、光田啓司(みつだ・けいじ)。そんな現実に嫌気を感じている啓司は、仮想現ファンタジー世界を舞台としたネットワークゲーム、ジ・アナザーワールド(通称TAW)にハマっていた。
コンピュータネットワークと脳神経医学の発展により、ネットワーク上のバーチャルな世界をまるで現実のように体感できる時代、ジ・アナザーワールドは仮想世界のアバターに、まるで自分の意識が転送されているかのようなリアリティを感じられるネットワークゲームという事で、世界的な人気を博していた。
ギルベルト=ケスラーという名の魔術師に扮して、ジ・アナザーワールドでは現実世界より目立つ存在となった啓司。しかしそれだけでは、啓司の積もりに積もった自己顕示欲は満たされない。ジ・アナザーワールドで知らぬ者の無い程の名声を獲得するのにもっとも確実な手段である、数多くのプレイヤーが所属し、多数の砦を所持する軍団の軍団長になる事を目指して、己の軍団を立ち上げる。
啓司の作った軍団は、所属国家間の領土戦争コンクエストで、大手と呼ばれる幾つかの軍団が睨み合う場所の砦を、パワーバランスゆえに手の出しにくい状況を利用して獲得する。だが、そこで啓司は自らの自己顕示欲を満たす為に、手に入れた砦を囲んでいる大手の軍団を無用に挑発してしまう。結果、一時的に手を結んだ大手の軍団に同時に攻められ、啓司の軍団は手に入れた砦を失い、軍団員達も啓司に愛想を尽かして全員脱退してしまうのだった。
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