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ライドネル王国の王都、セントラル・ルティナの南東にあるリンドバウム朝リニカ王国。王国を統べるのは、リンドバウム家。
地方の小国ながらも、ライドネル王国建国時から忠節を尽くし、王国の大臣など政府高官を何人も送り出してきた由緒正しい家柄。ヒロインであるデルフィーナ・リンドバウムは、病がちな父王から譲り受ける形で若くして女王となる。突然の女王の誕生に戸惑う領民達に不安を払拭するように、就任早々に内政に外交と活躍を見せるデルフィーナ。その美貌と為政者としての有能さから民や家臣達から、クイーン・オブ・リニカクリスタル……リニカ水晶の女王と呼ばれ、慕われていく。
女王に就任してから3年が経過し、順風満帆にいくと思っていた矢先――同盟国であった隣国「ゴラス王国」にて蜂起したゴラス革命軍を名乗る軍勢が王都にてクーデターを起こし、王族を皆殺しに国政を乗っ取ると、電撃的な速さで同盟国であったリニカ王国に侵攻を開始した。国土が狭く強力な軍備を持つのが難しいリニカ王国は南部で採掘されるアコンストーンやリニカクリスタルなどの豊富な鉱物資源による交易と外交を武器に栄えてきたが、そのことが仇となり、ゴラスの意表を突いた大軍による侵攻の前に王都はあっけなく陥落。
デルフィーナ女王は近衛騎士団長エルザの進言で、近衛騎士の一人、マリエルと共に王宮からの脱出を試みる。
からくも王宮から脱出したデルフィーナ達は身を隠すために「精霊達の森」と呼ばれる大森林へ向かうが、その途上、追っ手である革命軍の騎兵隊に見つかり囲まれてしまう。8人の騎兵に対して、戦えるのは近衛騎士のマリエルただ一人……。「あぁ、皆がその身を犠牲にしてくれたのに、こんなところですべてが終わってしまうの?」デルフィーナが天を仰ぎながらそう呟いたその時だった。騎兵の一人が弓矢で額を打ち抜かれ、転げ落ちるように落馬。いきなりの敵襲に動揺した騎兵隊は、一人、また一人と長距離から弓矢に急所を射貫かれ、短時間のうちに全滅する。「もしかして救援に来てくれたのですか?」森の奥に向かって言葉をかけるデルフィーナの前に、森の奥から一人の少年が姿を現す。
「救援? そんなものは知らないな。見るからに金持ちそうな女が襲われていたから助けただけだ。ピンチを救ってやったんだから見合った分の金は貰うぜ?」
褐色の肌に尖った耳……幼い顔立ちをしたダークエルフは、金目当てて助けただけだと冷淡に告げる。
これが精霊の森に住むダークエルフの少年『アイン』と『デルフィーナ』の出会い。
この運命的な巡り合わせに先にある未来は、いったいどのようなものになるのだろう?
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