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吸血鬼の天敵は、神だ。だが神様なんて、人間の妄執が作り出したご都合的存在に過ぎない。俺は生まれながらの吸血鬼 (ヴァンパイア)。 夜な夜な処女の生き血を吸って生き永らえる、邪悪そのものの存在。なのに――どうしようもなく人間ってやつが好きだ。できれば、“人間” として一生を終えたいと思っている。人の世界に溶け込む吸血鬼が1匹くらいいたって、別に構わないと思わないか? それにしても、だ。吸血鬼たる俺が、カソリック系の学園を入学先に選ぶだなんて、何かの冗談だと思われるだろう。周りは天敵を信奉する輩でいっぱいだ。でもまさか、ミッションスクールに吸血鬼が紛れ込んでいるとは誰も思わないだろう? 大事なのは逆転の発想だった。そして、あの娘に再会した――どういう運命の仕業なのか、この学園・セントマリア清心学園には、俺を人間好きにしてくれたあの娘が入学していた。春風が吹き荒れる頃――彼女と再会してからちょうど1年の月日が過ぎた。あいかわらず、日常はそれなりで。 あの娘は変わらず神様一途で。 ねーさんはいつも眠たげで。 あいつはツッコんでばかり。一見、終わらない日常――でも、俺が吸血鬼でいる限り――あの娘は絶対に俺を許さないだろう。神様、ファック!
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