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「おにいちゃん…目を開けて…お願い」  
 
かすかに聞こえる妹の声。  
 
目を開こうとしても開けない。体を動かそうとしても動けない。  
一体、俺は…どうなってしまったんだ…。  
意識はある…が、まるで何かに制御されているようだ。  
 
「さぁ、祐美くん、君のおにいさんを助けたいのであれば・・・」  
 
どこかで聞いた男の声。  
「…はい…。」  
俺の…俺の妹が、今まさに俺のすぐ傍で毒牙にかけられようとしているのだ。  
だが、今の自分にはどうしようも出来ない…。  
激しい怒りと何も出来ないもどかしさに、聞こえてくる声をじっとかみしめて…。  
−水野総合病院の暗部、知るものの間では通称「VIP病棟」と呼ばれる施設。  
そこの患者達は、自分専用の「特看」を手に入れるためにやってくる。  
祐美は、ある患者により、「特看」すなわち「特別奉仕看護師」として選ばれたのだ。  
運悪く事故に遭った俺の為にと口車にのせられ、俺のかけがえのない妹が、俺の目の前で淫らに溺れていく−。  
そして、俺もメンバーの1人に選ばれた。  
俺が葵の幼なじみというだけで…。 
 
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